王と従者
私はこれまで何かの奴隷だった。
従うべきものは、親や子どもからの期待、「かくあれかし」という周囲の視線、社会からの同調圧力。
最近、自分の人生にしっかり責任を負おうと考える。
弦の調べ、整理された余白の多い部屋、ムスクの香り、優しい声音。
好きなもの、大切な人たちと共有したいものがたくさんあることに気づく。
自分を知ることって楽しい。
一方で、みっともないと抑えがちだった、怒りも悲しみもちゃんと味わおうと思った。
私はこの理不尽に憤っているんだと自覚したら、呼吸が楽になった。
見栄を張らずに悲しみに明け暮れたら、いつしか傷は癒えるものだということも知った。
痛みも苦しみも、全部抱えて生きていこう。
私は私にとっての王でありたい。
今、私は自分という生涯の従者を得た。
きっと、もっと楽しくなる。