徒然なるままに

好きなことを、好きなように。願わくば、同じ思いを持ったあなたに届きますように。

ロード・エルメロイⅡ世が推しになるまで

 「ロード・エルメロイⅡ世の事件簿」の作者三田誠先生が第四次聖杯戦争を経たウェイバーの物語を書くに至った想いをツイートしていらっしゃったので、とめどなく想いが溢れ、Ⅱ世を知るまでの流れを自分自身の整理のために記そうと思う。

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Fate/Zero 英語名言集(対訳)その2 最果ての海

 今回は、第四次聖杯戦争の最終決戦に臨むウェイバーとイスカンダル、そして好敵手たるギルガメッシュのやりとりを取り上げる。
 対訳を掲載する前に、まずはこのシーンに対する思いをつらつらと。

 

【絆】
 王の足枷になりたくないと、弱者としての最後の矜持をもって令呪を使い切りマスターを辞めたウェイバーと、それでもなお友として彼を遇するイスカンダル
 「人が人に惚れる」というのはこういうことなのだろう。
 見果てぬ夢を共に見るために、彼は生きることを選び、少年から男になった。
 後払いでもらった栄誉に報いるため、生涯をかけて並び立つにふさわしい人間になるために、彼は立ち向かい続ける。
 生き延びることそのものが戦いなのだと知ることができた、彼にとって最初の戦い。

 

【二人の王】
 王の在り方を問うにあたり、最大にして最高の敵役としてギルガメッシュの果たした役割は大きい。
 エルキドゥを唯一の友とし、信念をもって孤独な王道を歩む彼と、いかなる宝よりも臣下との絆が重要だと覇道で示すイスカンダル
 すでに勝敗が決していたとしても、それはそれ、目前に極致・最果ての象徴がいるのだ。
 彼にとってギルガメッシュはかつて目指した最果ての海(オケアノス)そのものであったのだろう。
 流した血に足元を濡らす様は、さながら海辺で戯れる子供のよう。
 降り注ぐ王の財宝が、かつて見た夜空の星のようにイスカンダルには映ったようだ。

 笑顔で夢に向かい、夢に生き、夢に殉じた。
 ただ一度限りのはずの夢を再び見ることができたのだ。三度目もあるのだろう。
 そしてそれはきっと、成長した臣下たるロード・エルメロイⅡ世とともに。

 

【ウェイバー生存の理由】
 アニメ版を見た限りでは、ギルガメッシュはウェイバーの忠義に免じて見逃したのだと好意的に解釈していたが、思い返せば弓王はそれほどお人よしではなかった。
 ウェイバーの令呪が消費されていることを確認する直前まで、彼は確実に殺気を放っていた。自身が言峰綺礼に鞍替えしたように、令呪を残したマスターは他のサーヴァントを使役しうるため、ウェイバーに令呪があればその時点で排除していただろう。
 図らずも、三画全てを消費していたことで、ウェイバーは彼にとって処分する価値もない存在となっていた。

 もちろん、これまでのやりとりで征服王の在り方に敬意を抱いていたこと、その臣下として命の危険を冒しても自身に向き合ったウェイバーへの評価も少なからずあるのだろうが。(というか、あってほしい。)

 

【令呪の効果】
 漠然とした命令では効力が薄いため、ウェイバーが「勝利を手にせよ」と消費した令呪は、無駄に終わったのだと思っていた。しかし、マスターとサーヴァントの意思・目的が一致した状態では、サーヴァントへ通常以上の魔力供給を可能にしていたという。図らずも、ウェイバーの魔力不足を補う形となっていたことは、原作を読むまで気付くことができなかった。
 「今宵のイスカンダルは、完璧でないがゆえに完璧以上」というのは、気持ちの面だけではなかったのだ。

 

【ファンとして】
 前回の記事について、たくさんの方々に読んでいただけているようで、イスカンダル・ウェイバー推しとしては感無量である。
 対訳の記事というのは、書き起こしなので、いってみれば他人の褌で相撲を取っているような申し訳なさがあるが、もしこの投稿で原作小説・アニメ・漫画に興味を持っていただけたら本当に嬉しい。
 虚淵玄氏の原作を加筆修正した漫画版Fate/Zero(真じろう)には、第四次聖杯戦争の顛末からウェイバーがロード・エルメロイⅡ世になるに至る過程の物語が追加されている。

 また、2020年1月に千秋楽を迎えた音楽劇「ロード・エルメロイⅡ世の事件簿 case.剥離城アドラ」は、同年6月24日発売予定。アニメイト限定特典として、劇中曲のCDがついてくるので、間違いなくこちらがいいです。

 音楽劇は、ロード・エルメロイⅡ世の事件簿一作目として、これまでのウェイバーの在り方と苦悩・信じ進む道が集約されているので、単体かつ短時間でイスカンダル・ウェイバーを理解するためにはうってつけです。


 ファンとして、決して後悔はさせないと断言できる、いずれもおススメです。

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Fate/Zero 英語名言集(対訳)その1 聖杯問答

 人生で感銘を受けたものひとつとして、Fate/Zeroの征服王イスカンダルウェイバー・ベルベットの関係性がある。

 自尊心を満たすために聖杯戦争に身を投じた少年は、偉大なる王と出会い、その生き様を知る。「士は己を知る者のために死す」が、王と共に歩むため、あえて生き続けることを彼は選んだ。
 同作は、ロード・エルメロイⅡ世としての前日譚でもある。

 虚淵玄氏の小説が、ufotableの手で生き生きと描写され、豪華声優陣によって命を吹き込まれる。全ての要素が絶妙で、何度見ても見飽きない名作だ。

 Blu-rayには、英語音声・英語字幕が特典として収録されており、英語版の演技もこれまで見てきたものの中でもダントツにクオリティが高い。

 日本語・英語・字幕と一粒で何度でも楽しめる作品となっている。

 

 今回は、征服王イスカンダル、英雄王ギルガメッシュ、騎士王アルトリアが三者三様の王としての在り方について語った第11話「聖杯問答」より、征服王の価値観を示す名文を紹介する。

 私自身は、彼の欲望に忠実な生き方に感銘を受けたが、作者によればそれぞれの王の在り方(信念)が違うだけであり、どれが正解というわけではないとのこと。

 原作の文章の重厚さ、それを翻訳した英語版の巧さ、字幕にすることでの字数制限の難しさを感じながら、字幕ベースで音声に基づき記載してある。

 発売当初音声をシャドーイングしたくなり探したものの見つからず残念だったため、同好の士にとってなにかしらの娯楽となれば幸いである。

 

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